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後世への最大遺物

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最後の一句

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イワンのばか

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代表挨拶

「読み継ぐ書物のアクセシブル図書館」は、いつもは accessLib と短く書きますが、プリント・ディスアビリティーがある人々が楽に読むことができる図書だけを提供する専門・電子図書館です。プリント・ディスアビリティーがある人々の「読みたい!」「知りたい!」「わかりたい!」に応えます。

なお、accessLibは著作権法第三十七条の二によって行う事業ですから、利用する方はあらかじめ登録が必要です。一般の方は、著作権が切れた作品だけはご利用いただけます。

accessLib が提供する書物は代々読み継がれ、また広く言語や国を超えてに読まれた選り抜きの古典と、これから読み継がれ読み広げられるはずの名著、そして今をうまく生きる指針と手掛りとで構成します。

沖田 克夫

コレクションは、さまざまな方々の推薦の中から選ばれた書物を、目と耳の両方を同時に使って読み進む、脳が楽に働くような仕組みに accessLib が自ら作り変えます。それは古代アレキサンドリア図書館がパピルスに書かれた巻物でしたことに似ています。

古代から現代まで、図書館は先人の積み上げた知識を共有するための場で、同時に、図書館に集まって深い議論をする場でもありました。しかし、限られた人々のものでした。

しかし、これからの図書館は、物理的な場がなくてもデジタルでならば知識の共有は可能であり、かつ、それまで紙の本に阻害されてきた人々も同じ共有ができます。インクルーシブな知識の共有は、これからの電子図書館が知識の蓄積とマルチメディアによる有用な知識の発展とを伴う強靭な社会を築く土台です。

さらに、accessLibのような極小電子図書館がアクセシブルなDAISY4=EPUB3規格のコンテンツを作りかつ共有することは、誰もがマルチメディア著作物を作れるようになる道筋を鮮やかにします。 さあ! これまで読みたいのに読めなかった方々が、「アートや音楽」を楽しみその分野で活躍されたように、アクセシブルなコンテンツで「知」も楽しもうではありませんか!!

プリント・ディスアビリティとは

「プリント・ディスアビリティ」は、1990年代ごろに図書館学から出てきた、さまざまな理由によって印刷物を利用することが困難な障害の総称です。「print disability」を素直に訳すと「墨摺本はダメよ」です。そこからは「読めるフォーマットをください」という声が聞こえてきますね。現在、バリアフリー、またインクルージョンを推し進める上で重要な視点です。

具体的にはどのような人たちか、最もしっかりした文章は、通称「マラケシュ条約」にあり、「(a ) 盲人である者、(b)  視覚障害又は知覚若しくは読字に関する障害のある者、(c)書籍を持つこと・取り扱うことができず、又は目の焦点を合わせること・目を動かすことができない者」(外務省ホームページの条約本文から 一部改変)、とあります。マラケシュ条約は、2013年に採択された条約で、日本も批准しています。

日本では、(a )盲人は31万人。(b) 視覚・知覚・読字に関する障害児で見ると小中学生だけで61万人。大半がディスレキシアと推定されます。高齢者では、介護保険制度で2023年の要介護認定者数が693万人、そのうちマラケシュ条約の(c) に該当する本を読みたくても読むことがままならない人が一定数あります。合わせて数百万人規模です。

「print disabilities」「視覚障害者等」と呼ばれることもあります。大事なことは障害の有無ではなく、身近なプリント・ディスアビリティと共に、読みたい! 読めた! わかった! を増やすことです。

プリント・ディスアビリティのための墨字本の代わりになるメディア開発は、点字の発明に始まり、電話、録音テープに引き継がれました。やがて20世紀末のデジタル技術を駆使した、インターネットのためのホームページリーダー、テキストデータのためのスクリンリーダー、音声DAISY、マルチメディアDAISYとテキストDAISYへと展開され、そしてアクセシブルEPUBへと発展しました。さらに、パソコンで利用するだけでなく、いつでもどこでも持ち歩ける「スマホでも読む」が当たり前になりました。

一方で、電子本の出版が本格的になったばかりわが国では、バリアフリー機能を実装しているアクセシブルな電子本の出版は、やっと準備が始まりかけている心細い状態です。

DAISYとは

DAISY(デイジー)はDigital Accessible Information System の頭文字ですが、プリント・ディスアビリティのための脳にかけるメガネです。

近視や遠視の人が裸眼で勉強や仕事をすると直に行き詰まってしまいますが、自分にあったメガネをかければ快適に勉強も仕事も続けることができます。同様に、プリント・ディスアビリティーのある人は、DAISY図書を墨摺本の代わりに使うことが強く勧められます。

プリント・ディスアビリティーの典型の一つはディスレキシア(難読症)です。ディスレキシアは、不思議なことに、目はよく見えているのに特異的に文字が読めません。難読症の原因はまだ十分に究明されていないものの、文字を読む脳の回路が途中で誤りをおかすからと知られています。そこで、難読症に有効なアクセシブル機能を実装したマルチメディアDAISYを「脳にかけるメガネ」として使うと、脳の読語回路でのエラーを避けることができ、文の読み取りを成功させることができます。さらに、文の読みが繰り返して成功すると、脳自身が持っている学習性が働きき始めて、やがて誤りが起こりにくい回路に変わっていくこともあり得ます。鍵は「文字と読みとを同期(シンクロナイズ)して脳にインプットする」ことです。つまり、文字だけで読み取ろうと脳を無理に働かせる代わりに、その時同時に、聴き取ろうとする働きも働かせることによって、脳回路の働きの、譬えていうと掛け算効果を呼び出すことになります。

DAISYの効果に率直なアメリカは、幼稚園から高校までの教科書と教材の100%、2万6千タイトルをDAISYでNIMCという国のセンターが提供しています。大学に進むと大学図書館がDAISYを学生に渡すだけで、3分の2くらいの学生はメキメキ成績を上げると聞きました。

DAISYのはじまりは、カセットテープによる録音図書の後継規格の構想でした。それを国際図書館連盟(IFLA)が、世界中で交換できる同じ規格にしなければいけない、と考えて開発されたのが、いわゆる「音声DAISY」で、1997年でした。

開発の際に寄せられた要望の中で、一つだけ叶えることができなかった「盲人であるけれど固有名詞を聞いた時にはその綴り字を知りたい」を実現したのが、現在広く使われている DAISY2.02規格で「マルチメディアDAISY」と呼ばれます。デジタルICTを駆使して、主に難読症のために、同期したテキストと読み上げ・画像を出力します。2001年以来、最大級のアクセシブル機能を実装した国際標準規格です。その後、DAISY4は2011年に電子図書の規格であるEPUB3(イーパブ3)と統合し、このEPUB3は2020年にISO規格となり、2022年にはプリント・ディスアビリティが読むことができる電子図書であるかどうか、買う前に評価する日本産業規格(JIS X 23761)を制定しました。  つまり、現在、お店でで買える電子図書は、プリント・ディスアビリティが読むことができる「アクセシブルなEPUB」(DAISY4=EPUB3)と読むことができない電子書籍の二つに分かれます。そのため、面倒くさく「アクセシブルなEPUB」や「DAISY4=EPUB3」と書きます。これはアクセシブル機能を実装したDAISY4規格で作ってEPUB3で配布・流通する電子図書という意味ですから、プリント・ディスアビリティーもディスレキシアもそうでない全部の人もラクラク読むことができます。

お知らせ

2020年3月20日お知らせ

アクセシブル図書館のホームページを開設しました